「ブラウン神父の秘密/G・K・チェスタトン」を読んで

今回の課題図書は、G・K・チェスタトン「ブラウン神父の秘密」。

ことし、創元推理文庫から出た新版を購入しました。
本の帯のコピーに「常識を超えたユーモアと恐怖」などとあったので、元祖バカミスかもと期待して読み始めましたが、一読する限り、主人公のブラウン神父は極めて真面目。
シャーロック・ホームズがジャンキーであるように、ブラウン神父も実は何か陰の部分があるのではないかと思って読んでみましたが、至って普通。ザ・聖職者でした。
アクティブに動き回ることもなく、人の話を聞くだけで事件の謎を解いていく安楽椅子型の名探偵で、いろいろ動き回り、依頼主の前から姿を消し、何人も殺された後でようやく「犯人は○○!」とひらめく金田一耕助とは対極でした。

事件のトリックやブラウン神父の観察眼、宗教観が本作の読みどころで、そこが今でも読み続けられる理由なのでしょうが、私はそこではなく、登場人物の人間模様や犯行の動機といったところに非常に興味を持ちました。
どの作品も、事件の背景がやたらと暗い。明るい犯行動機などあるわけはないのですが、何か全体的に陰湿な気がします。
本作は連休の最初に読んだのですが、連休気分も吹っ飛ぶ暗さでした。

あと、読みにくい文章だなという感じがしました。
全然ページが進まず、宗教とかの話になると睡魔が襲ってくるという状態でしたが、ネットで感想を見ていると特にそのような印象を持っている人はおらず、私の読書量が圧倒的に不足しているのだなと改めて感じました。


全然内容に触れていなかったので、好きな話を挙げておきます。

「メルーの赤い月」
山岳導師が余りにも小者的でせつないです。

「マーン城の喪主」
この入れかわりトリックは今でも多く見られますが、1925年ごろだと斬新だったのでしょうか。それともそれ以前の19世紀ごろからあったのか気になります。

「フランボウの秘密」
泥棒をしていたフランボウが、ここに至るまでの物語も読んでみたいし、この後の話も気になりました。

嫌いな話というか、突っ込みどころ満載だったのは「大法律家の鏡」。
新聞記者も詩人も検察官も、やっていることが何だかなぁという感じで、ここだけほっこりしました。


そういえば「木の葉を隠すなら森の中」という言葉のオリジナルは、このブラウン神父だそうです。
さすが世界三大探偵は言うことが違う。おしりたんていとはレベルが違う。

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by yuki-kizaki | 2017-11-04 18:06

読書感想文です。


by スプレンダー